日本国内で出回っているくるみのほとんどがカリフォルニア産か中国産のくるみです。国産くるみ第一位は長野県ですが全体のシェアからみれば極僅か・・・そんな外国産に押されているクルミですが、2011年、東北地方にもともとある和グルミ(オニグルミ)を世に出そうと考えました。

アメリカ産との違いは、{日本固有種 100%天然岩手産 世界一おいしい} という事。殻も硬い、実も小さいだけど「世界一」の誇りがある!品種改良され生産効率をあげたものと違い、岩手の寒さを耐え忍び育んだ純粋無垢で貴重な和グルミ。見た目は、ひたすらに硬く実も少ない。だから今まで市場に出なかった。1000年に1度の天変地異を受け、満を持して登場!これが日本固有 世界一うまい本物のくるみ

左側の2つは姫グルミ。  まん中が一番普通にある鬼グルミ   ウィキペディア「オニグルミ」

和ぐるみの殻むき

和ぐるみの殻むき作業を行っているところです。まず小さな殻をひとつひとつ手で割ります。力のいる作業で、一日これをやっていると本当に手が疲れます。半割になった殻の中から、ひとつひとつ、小さな千枚通しで実をほじくり出します。また、どうしても殻の小さな破片が混じってしまいますので、ピンセットを使って丁寧に殻を抜き取っていきます。とても根気のいる作業です。

和ぐるみの特徴

堅い

和グルミはとにかく堅いです。梅干しの種よりも堅いです。殻の材質そのものが非常に堅いうえに、殻の厚みがかなりあるのです。ただ面白いことに、厚く見える殻ではありますが、じつは殻の内部はいくつもの空洞に分かれていて、その空洞を形作っている殻じたいはそれほど厚いわけではありません。この堅い和グルミを割るには、専用の割り器を使うか、金槌でたたくか、加熱するかしないとならないです。しかし、一方では、この堅くて、厚くて、断熱性能も良さそうな殻があるからこそ、中の実がしっかりと守られます。和グルミは常温の普通の状態において、何年でも貯蔵することが可能です。本当にこの和グルミの殻は不思議です。

小さい

和グルミは梅干しの種やぎんなんよりは大きいですが、洋グルミに比べると小さいです。1個の重さが10g程度で、小ぶりなものだと7~8gほどしかないです。手のひらの中に3つ入れて握ることができます。

中身が少ない

形が小さいのに殻の厚みがかなりありますので、自ずと食べられる部分の中身の量が少なくなります。殻全部の重さに対して、食べられる中身の量の割合は2割程度しかありません。しかも中身は殻の内部に入り組んだ形ではいっていますので取り出しにくくなっています。殻を割ってから、先のとがった千枚通しか金串を使って中身をほじくり出すようにするのですが、これがとても手間なのです。

【和ぐるみ】             【洋ぐるみ】

味の特徴

和ぐるみ(オニグルミ)はとにかくおいしいです。ナッツとしてのコクのある深い味わいがあります。しかしそれでいて、しつこすぎる感じは全くといっていいほどないです。下のグラフを見ていただければそれがわかります。

まず油分です。和ぐるみ成分の半分が油分ですが、洋グルミに比べるとそれほど多くはないです。また、舌に残る渋みのもとであるタンニンですが、これはかなり少なくなっています。ですから、和ぐるみをたくさん食べても味が口に残るというほどのことはないです。著名な和食料理人の野崎洋光さんに私どもの和グルミを食べていただいた際、「フルーティな味がする」と評されていました。

オニグルミは油分が少なめで、油のしつこさがあまりありません。

オニグルミはタンニンが少ないので、ほとんど苦さを感じることがありません。

出典:日本食生活文化調査研究報告集3-昭和60年度助成対象-財団法人日本食生活文化財団岩手県立盛岡短期大学(現岩手県立大学の前身) 教授 大森輝氏 助教授 魚住惠氏

和ぐるみ(オニグルミ)の生産量

岩手県でのオニグルミ生産量(農林事務所別) 単位:kg      岩手県特用林産物統計表

昭和年度 盛岡 花巻 北上 水沢 江刺 一閲 千厩 大船渡 遠野 宮古 久慈 二戸
41 3,800 4,500 4,500 180 150 800 3,250 1,150 2,010 9,550 7,870 8,900 46,660
42 4,270 6,400 1,170 330 150 1,385 2,620 1,400 2,700 11,780 2,452 11,200 45,857
43 4,970 4,660 1,190 460 1,110 1,350 3,110 1,340 2,000 11,860 2,170 11,500 45,720
44 5,070 5,700 2,000 3,000 1,090 1,360 4,180 2,780 2,160 9,820 1,610 7,200 45,970
45 6,190 4,600 2,200 2,605 10,000 1,280 2,650 2,790 2,280 8,835 2,300 8,690 54,420
46 11,850 4,350 2,700 767 10,000 430 2,480 920 2,300 7,771 2,600 7,300 53,468
47 5,991 2,400 2,700 1,130 8,000 650 2,350 890 2,960 7,730 2,500 8,980 46,281
48 6,942 2,400 2,800 4,810 8,500 550 1,790 1,070 5,270 8,666 2,700 11,370 56,868
49 5,558 2,500 2,600 2,140 8,800 540 2,500 980 5,750 6,460 2,600 8,500 48,928
50 4,780 2,750 3,300 1,720 9,000 970 6,420 810 5,710 3,600 4,900 5,480 49,440
51 4,191 2,800 3,250 1,600 10,500 910 5,580 750 6,310 6,515 2,400 7,000 51,806
52 5,670 3,300 2,900 1,800 9,600 880 730 4,200 4,510 7,230 2,500 10,300 53,620
53 7,460 5,000 2,900 2,050 8,600 500 430 4,800 2,750 7,820 4,200 10,000 56,510
54 6,928 4,800 2,500 2,350 7,500 1,400 270 4,000 1,460 8,110 19,000 9,500 67,818
55 3,881 3,600 3,000 1,275 2,200 1,000 180 4,000 780 5,100 15,000 6,000 46,016
56 5,700 3,670 3,200 1,390 2,200 400 180 2,400 600 5,325 14,300 5,500 44,865
57 5,290 4,360 3,400 1,365 2,000 400 60 2,650 2,420 5,990 12,600 5,000 45,535
58 6,240 4,250 3,400 1,090 2,000 400 1,143 2,550 2,400 6,000 10,000 6,800 46,273
59 21,200 4,200 3,350 900 1,500 400 1,045 2,250 2,600 4,099 11,300 11,300 64,144
平均 6,631 4,013 2,793 1,630 5,416 821 2,156 2,196 2,998 7,487 6,474 8,448 51,063

宮沢賢治とくるみ

宮沢 賢治

教師 詩人 童話作家 地質研究者

故郷花巻盛岡周辺地域を「イーハトーブ」と幻想し数々の文学作品を遺した宮沢賢治。死後、生前の、改宗者 菜食主義 非暴力主義 体験主義といった当時としては相当な異端的要素も注目されました。大学では農業を専攻。土壌Phに着目し石灰散布等を指導、これは現在まで受け継がれています。

尋常小学校時代、罰として水を満杯にした湯呑を持って立たされていた同級生を見かね「辛かろう」と言いその場で水を飲み干してしまった 賢治。薄給の教師時代にも生徒らを食事に連れ出していた賢治。没する2年前の35歳 アメニモマケズ を書き遺した賢治。

宮沢賢治という人物像を探れば探る程、彼の底知れぬ 優しさ に行き着きます。また独学で学者以上の地質学知識を有していた賢治は故郷花巻を流れる北上川の新第三紀鮮新世 地層から150万年前のバタクルミ(現在は絶滅)の化石を発見。日本で始めてクルミの化石を発見したのは宮沢賢治でした。

宮沢賢治の代表作のひとつに「風の又三郎」があります。この物語は、ちょっと風変わりな出だしで始まります。

  どっどど、どどうど、どっどど、どどう
  青いくるみも吹きとばせ

  すっぱいかりんも吹きとばせ
  どっどど、どどうど、どっどど、どどう

小学校の2学期が始まる9月1日、転校生が教室に現れ、子ども達との交流が繰り広げられます。高原の野原で馬を追い、森でヤマブドウを取り、川で魚をつかまえたりします。そして風のようにまた転校していく物語です。

クルミは9月から10月にかけて、青かったクルミがだんだん黒ずんできて自然に落ちます。9月1日ころは完全に実ができるまでには少し早く、風で落とされてしまうと良いクルミになりません。なお、「青いくるみ」とは言っても、青信号と同じで実際には緑色をしています。

くるみの木の下は・・・

くるみの木の下では他ではない特徴があります。まず、モグラ君が生活している確率が非常に高いです。2日餌を食べないと餓死してしまうといわれるモグラにはカロリーが必要です。秋口のモグラはせっせとくるみを拾い巣の中に貯蔵し、冬眠明けの食事として準備します。雪もとけた春先くるみの木の下に行くとくるみの殻が一箇所に捨てられていたりします。近くには必ずモグラ家の玄関があるはずです。

真横に伸びたオニグルミの木 盛岡市浅岸

自動車にくるみを割らせるカラス君

人間を含め雑食性生物のほとんどはくるみのおいしさと栄養を知っています。例えばハムスターやリス。こういった小動物はオニグルミのおいしさを知っています。くるみの筋をカリカリ齧りおいしそうにほうばります。

また鳥類の中で凄いのはカラス。カラスは昔からくるみのおいしさと栄養を理解してます。自分たちでくるみを割れないカラス達は高い所から地面に叩きつけくるみを割る生態行動を親から子へ何世代も前から受け継いでいます。そんなカラスの生態行動に最近変化が見られます。それは・・・ 自動車にくるみを踏ませて割るニュータイプカラス達です。落としてもなかなか割れないくるみに業を煮やしたカラス君。そんな時偶然通りかかった自動車がくるみを踏んでいきました。すると今まで割れていないくるみが見事に粉々に♪ ここで頭の良いカラスからニュータイプが派生します。自動車の轍にくるみをセット族です。

2008年にはくるみを人間に割らせるという本当に頭の良いカラスまで現れました。以前自宅の近くでくるみ割りに苦労していたカラスを助けてやったことがあります。かわいそうなので足で踏んでやりました。 何度か・・・頭の良いカラスは覚えました。人間にはおかしな奴がいてくるみを割って立ち去る奴がいることと、それとそのおかしな奴の家の場所です。2008年の一時期だけでしたが私の家の前に意図的にくるみを置いて待っているカラスがいました。面倒ですが悪い気はしません。オニグルミが取持ってくれた人間とカラスの縁でした。

2013年も春 シジュウカラの餌付けに成功

さあ今年も春がやってまいりました。東京では桜も開花したようですが盛岡では雪が舞うこともあります。3月26日、毎年やってくるシジュウカラの夫婦が来ました。

今年特別に用意していたエサはオニグルミ!シジュウカラは真っ先に飛びつきおいしそうにほうばりました。このシジュカラですが非常に賢い鳥でイギリスでは、近縁種 P. major が、牛乳配達の車の後を追っていき、配られた牛乳のふたをこじ開けて牛乳を飲む行動が報告されています。私がシジュウカラの餌付けを始めたのは4年程前から、近くで成長するアゲハ蝶の幼虫をシジュウカラが捕食してしまうので幼虫よりおいしいエサをあげ始めたという訳です。背後に私がいる事すら忘れ一心不乱にオニグルミを食べるシジュウカラ君でした。

くるみの棘

全てのくるみの木に棘はありませんがくるみの木は棘のようなものを備えています。それは他の植物との生存競争に勝ち残る為にくるみが考え出したユグノン及びその変性成分です。

この成分は特定植物の酵素の運搬を阻害することによるアレロパシー効果があります。また多くの植食昆虫に対して攻撃力があります。つまりくるみの木の下は害虫が極めて少なく、ユグノンに耐性を持つ植物には楽園なんです。

明らかに植生が違う木の下

くるみ泥棒

5月12日 もりおか若者プロジェクトさんのはからいで てどらんご(旧市街地でのフリマ)に参加させてもらいました。

まぁそんな物販報告をしても仕方がない訳でありまして、販売中にくるみのかけらを持ち去った世界一小さくてかわいい泥棒君を紹介します。

盗まれながらもなんだか応援したくなるアリちゃん♪

体より大きなくるみを運ぶアリちゃん

くるみはトナカイだった!!!

地球は青かった。

そして

くるみはトナカイだった。

ガガーリンが言ったとか言わないとか・・

      トナカイ どこ!

トナカイ いた

桃栗3年柿8年 さてくるみは?

くるみは「種」ですから条件が揃えば発芽します。川の流れに身をまかせ、流れ着いたその地で芽を出します。さて、鬼ぐるみは発芽してから何年後に実をつけるのか・・・桃栗3年柿8年。くるみは字余りなので採用されませんでしたが、実をつけるまで非常に時間のかかる種族です。マイペースなくるみは成長が早くありません。

秋に落ちた実(種)は翌年春地中から顔を出します。1年目は50センチ程成長し、葉を落とし冬を迎え2年目は殆ど伸びません。むしろ1年目より背が低いくるみもあります。これはくるみが2年目に樹皮形成に入るからだと考えられます。1年目のくるみは緑のストローのような感じですが2年目には灰色のストローになります。2年目に樹皮形成した後はどんどん成長します。くるみは発芽後7年~12年位で実をつけます。ただ例外もあり12年を過ぎても実をつけない個体もあるし、去年まで実をつけていた個体が突然実をつけない事もあります。オニグルミって本当にきまぐれなんです。

オニグルミの「うまみ」とは

オニグルミ単体を噛み締めゆっくりと味わうと舌の両サイドの味蕾 (みらい 味を感じる感覚器官)で「うまみ」を認識しているのが分かります。さて舌の両サイドの味蕾は甘い辛い苦いしょっぱい酸っぱいどのセンサーなのか調べると、舌両サイドは酸っぱいセンサーでした。??? オニグルミって酸っぱくないじゃん。そこで原点に戻り「うまみ」を紐解きます。

うま味物質として知られているものにグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などが挙げられます。共通のキーワードは『酸』だから酸っぱいセンサーが感知したのでしょうか。

自然界にはハエトリシメジのうま味成分のトリコロミン酸 やイボテン酸など未知のうまみ成分が存在します。オニグルミには未知のうまみ成分、なんとか酸があるかも。

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